監視カメラ(ITV,CCTV)の種類について

監視カメラシステムは、セキュリティと監視のために幅広く利用されています。市場には様々な種類のカメラが存在し、それぞれ特定のニーズに対応するよう設計されています。ここでは、防水カメラ、防爆カメラ、PTZ(パン・チルト・ズーム)カメラ、バレットカメラの違いについて詳しく解説し、それぞれの特徴、用途、及び利点を比較します。また、カメラを統合して管理するシステム(NVR・DVR)についても解説します。

特殊な加工をしたカメラ

防水カメラ

防水カメラは、水や湿気の多い環境での使用に適しています。これらのカメラは通常、IP評価(国際保護等級)に基づいて、特定の水深と時間に耐える能力があります。屋外の天候条件や、プール、海辺、湖などの水辺の監視に最適です。

IP評価について第1桁は物体やほこりに対する保護レベルを、第2桁は水に対する保護レベルを表しています。「X」は該当する保護レベルが定められていないことを意味します。各レベルが組み合わされて使われることもあります。

IPコード水保護レベルの詳細塵保護レベルの詳細
IPX0保護なし
IPX1垂直から落下する水滴に対する保護。条件:水滴が垂直から落下しても影響なし。
IPX215度傾いた状態での水滴に対する保護。条件:どの方向からの15度の傾斜で落下する水滴にも対応。
IPX3水を噴霧する形の保護。条件:60度の範囲内での水噴霧に対応。
IPX4あらゆる方向からの飛沫に対する保護。条件:全方向からの飛沫に対応。
IPX5水の噴流に対する保護。条件:ノズルからの水噴流に対応。
IPX6強力な水の噴流に対する保護。条件:強力なノズルからの水噴流に対応。
IPX7一時的な浸水に対する保護。条件:一定の圧力で30分間、水深1mの水中に保持。
IPX8継続的な浸水に対する保護。条件:メーカー指定の条件下での水深および圧力での保護。
IPX9K高温高圧の水噴流に対する保護。条件:高圧の水蒸気/水噴流に対応。
IP0X保護なし
IP1X直径50mm以上の大きな物体に対する保護。
IP2X直径12.5mm以上の物体に対する保護。
IP3X直径2.5mm以上の物体に対する保護。
IP4X直径1mm以上の物体に対する保護。
IP5X塵埃が内部に侵入しない。
IP6X塵埃の侵入を完全に防ぐ。
例:IP67であれば、「塵埃の侵入を完全に防ぎ」かつ「一定の圧力で30分間、水深1mの水中に保持可能」という見方になります。

防爆カメラ

防爆カメラは、爆発の危険がある場所で使用される特別なタイプのカメラです。これらは、石油化学工場、ガス施設、鉱山など、可燃性または爆発性の物質が存在する環境向けに設計されています。防爆カメラは、強化された外殻を備えており、内部で発生した火花が外部環境に漏れ出し、爆発を引き起こすことがないようにします。

カメラ自体の機能の違い

PTZカメラ

PTZカメラは、リモートでパン(水平移動)、チルト(垂直移動)、ズーム(拡大・縮小)の操作が可能なカメラです。これらのカメラは、広範囲を監視する必要がある場所や、特定の対象を詳細に追跡したい場合に適しています。ショッピングモール、駐車場、公共の広場など、広い範囲をカバーする必要がある場所に最適です。

バレットカメラ

バレットカメラは、その特徴的な長くて細い筒形のデザインから名付けられました。設置が簡単で、方向の調整も容易なため、小規模なビジネスや家庭での使用に適しています。バレットカメラは、壁や天井に取り付けられ、特定の方向に焦点を当てるために使用されます。

各カメラの比較表

以下の表では、価格、設置難易度、市場の大きさを比較しています。星の数が多いほど、その属性において優れていることを示します。

カメラの種類価格設置難易度市場の大きさ
防水カメラ★★★★★★★★★★
防爆カメラ★★★★★★
PTZカメラ★★★★★★★★★★
バレットカメラ★★★★★★★★★★★
※防水・防爆カメラのPTZカメラやバレットカメラ、非防水のカメラなどもあります。
  • 価格: バレットカメラが最も手頃な価格帯であり、防爆カメラが最も高価です。
  • 設置難易度: 防爆カメラの設置が最も難しく、バレットカメラの設置が比較的容易です。
  • 市場の大きさ: バレットカメラが最も広い市場を持ち、防爆カメラが特定のニッチ市場に特化しています。
  • 各カメラは特定の用途と環境に最適化されており、選択する際にはそれぞれの特性を考慮する必要があります。防水性や耐爆性が必要な特殊な環境、広範囲を監視する必要がある場合、または特定の方向に焦点を絞りたい場合など、使用する環境に応じて最適なカメラを選ぶことが重要です。

監視カメラシステムの効率的な管理と運用を実現するためには、様々なタイプのカメラを一元的に管理するハードウェアが必要です。このようなハードウェアを通常、ネットワークビデオレコーダー(NVR)またはデジタルビデオレコーダー(DVR)と呼びます。これらのデバイスは、複数のカメラからの映像データを集約し、保存、再生、およびリアルタイム監視を可能にします。

NVR(ネットワークビデオレコーダー)

NVRは、IPベースのカメラシステム用に設計されています。これらは、カメラからデジタル信号を受信し、そのデータをネットワーク経由でNVRに送信します。NVRは、データの処理と保存を行い、必要に応じてユーザーがリモートからアクセスして映像を確認できるようにします。NVRの利点は、高品質の映像処理能力と、ネットワークを介した柔軟な設置オプションにあります。

DVR(デジタルビデオレコーダー)

DVRは、アナログカメラシステム向けに設計されています。アナログカメラからのアナログ信号を受信し、それをデジタル形式に変換して保存します。DVRシステムは、アナログ信号を扱うため、設置は比較的単純ですが、NVRに比べて映像の品質や拡張性に制限があります。

管理ハードウェアの選択

選択する際には、カメラシステムの種類(アナログかデジタルか)、必要な映像の品質、保存容量、拡張性、そしてリモートアクセスの要件を考慮する必要があります。また、カメラシステムの将来の拡張計画も考慮に入れることが重要です。

NVRは、特に新設または技術的に進んだ監視システムにおいて、その柔軟性と高解像度の映像品質で優れています。一方、既存のアナログシステムをアップグレードせずにデジタルストレージを利用したい場合は、DVRが適切な選択となります。

結局のところ、監視カメラシステムを一元的に管理するハードウェアの選択は、システムの要件、予算、および将来の拡張性に大きく依存します。適切なデバイスを選択することで、セキュリティと監視の効率性を大幅に向上させることができます。

また、ネットワークカメラを利用する場合はセキュリティ(こちらの記事を参照)に注意してください。